セロトニンは肥満やダイエットと深い関係があるので詳しく解説
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セロトニンという物質をご存じでしょうか?セロトニンが分泌されると幸せになれると言われています。
最近ではダイエットに効果的とされて着目されているのです。からだの消化管粘膜に存在し、主に生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与する物質であり、摂食に関する仕事をするだけではなく、気分とか感情にも関わる物質です。
気分の状態、心配の程度、睡眠量の過不足によってこの物質の量が変わることがわかっています。
さらにセロトニンが「過食症」と深いつながりをもつ物質であることが確認されました。知ってのとおり、過食症とは食欲異常昂進症ともいわれるように、昂進した食欲のままに大量に食べたりする病気です。→過食症とダイエットの関係について
その過食症の人を調べたところ、標準よりセロトニンのレベルが低く、セロトニンの微妙な変動に食欲が敏感に影響することがわかったのです。そしてまたこの病気はうつ病と密接な関係にあり、その症状をもつ人の90%が女性であることが特徴でした。
つまりセロトニンを正常にさせることがダイエットには大切だということになります。
この方法でダイエットを行うとカロリー摂取やカロリー消費に関する考え方が変わり、運動に対する意識も変わるでしょう。
ダイエットに必ずつきものであった「忍耐」とか「我慢」とか「意志力」という言葉も不要になるでしょう。それほど画期的なものなのです。
背景には肥満を制御する遺伝子の発見と、それに関連するホルモン・レプチンの解明などがありました。そしてそれを補強してくれたのが「X症候群」や「インシュリン抵抗性」という概念の展開です。
そのことで革命の成功がさらに確実なものになったのです。しかし何といっても最大のきっかけは、うつ病の研究によって得られた、「脳のある神経伝達物質が食欲を抑制する」という発見です。
しかし安心してください。話しを聞いていると複雑そうに見えますが、ダイエットの理論はそれほど難しくはありません。
「肥満はライフスタイルや人格、性格によるものではなく、大部分は遺伝的性質である」という認識があります。「食べさえしなければやせる」のですから、「食べたくなくなる体にしよう」というだけのシンプルなことです。とはいっても問題点や押さえておかなければいけないこともいくつかあります。
とりあえずここでは2つのことを覚えてください。
①セロトニンダイエットはだれにでも可能だということ
②肥満の人のからだの機能は、やせている人とはちょっと違うという事実
つまり遺伝的に肥満体質をもっている人は、食事療法や運動ではやせられないということをわかってほしいのです。
残酷な言い方であり、「そんなバカな」と思う人がいるかもしれませんが、ともかくまずそのことを認識してほしいと思います。
なぜかと言うと肥満の人は肥満遺伝子が食生活を支配しているために、運動や食事療法ではやせることができないのです。その仕組みがわかってくると、食事療法に「挫折」する理由も、思うように運動でやせられない理由も理解できるようになるはずです。
逆にいいますと、それを理解すると、このダイエットが実に理にかなっている方法であることが納得できるのです。
加えていいますが、肥満は精神の問題でも心の問題でもありません。からだの問題なのです。それまでは憎々しく思っていた体を心から慈しみ、大切にするようになっているはずです。
食欲に関していえば、いつ食事をするか、いつ食事をやめるかなどということを命令するのも、この視床下部だといわれています。
手や目や鼻などから得た刺激やほかの脳からもたらされた命令信号を送受信すると同時に、相互連絡の神経繊維システムの一部として働きますが、知ってのとおり、情報は神経伝達物質によってやりとりされ、特有な電気信号にして脳を刺激するのです。→ダイエットと脳の関係について
そこで食欲というものがどのような情報伝達と情報分析によってなされるのかを、ちょっと考えてみましょう。
1個のケーキがあったとします。大脳皮質のより高い部分が、まずそれが本当のケーキであるかどうかを経験をもとにしてチェックします。そのとき匂いとか、触ったときの感触があればそれも参考にしますが、当然このときも神経伝達物質が情報を伝えます。
当然に視床下部はあなたの胃やお腹の状態もチェックします。空腹?それとも満腹?
視床下部からの打診にあなたは答えると同時に、態度の決定をしなければいけません。それにはまず記憶回路のチェックです。そのケーキは美味しいか。その形のケーキはどこの店のものか。食べても誰かに怒られることはないか。さて、いよいよ結論です。おなかはすいている。そのケーキは好物である。自分が食べても誰かに怒られることはなさそうだ。
「脳をだます」とはこのことをいうのです。脳の信号を変調させる。そうするとあなたの視床下部の中の食欲感知命令機能が、空腹なのに満腹だと思って、食欲を抑制する。
そのときに、大きな役割をはたす神経伝達物質がセロトニンという物質です。脳にはいくつもの神経伝達物質や司令を出す物質がありますが、それぞれに役割があります。ドーパミンは現実理解に関係した物質ですし、ノルアドレナリンという物質は、注意や警戒能力を専門分野としています。
そんな物質の中で、セロトニンは摂食に関係すると同時に、憂うつ、気分、動揺、攻撃などという感情をコントロールする物質といわれています。脳内物質はほんのわずかな量で、大きな仕事をします。
単位にして1億分の1グラムのレベルであり、その単位のセロトニンが分泌されるかどうかで、人間の感情や食欲がコロリと変わってしまうのですから、その役割の大切さが理解できるでしょう。
満腹だと、視床下部にあるセロトニンのレベルは高くなり、空腹になるにしたがってセロトニンのレベルは低くなります。また命令や情報を伝達するということは、その物質が相手方の神経細胞を電気的に刺激し、再吸収されて完了します。
相手の細胞内に入ることができないセロトニンは、シナプスと呼ばれる神経の最終空間にある、細胞の外側に蓄積されます。その結果、視床下部の中でセロトニンレベルが上がります。
セロトニンのレベルが高いということは、「満腹である」という指標ですから、視床下部は食欲を閉じようと理解し、また時として高いセロトニンレベルは「快活な気分」を引き起こします。このような仕組みで食欲は自然に抑制されていくので、とても自然なダイエットが可能です。
肝心のセロトニンを増やす方法ですが、規則正しい生活が基礎としてあります。決して難しいことを要求しているわけでもなく、激しい運動も不要です。肝心なことは室内で閉じこもるのではなく外で太陽光を浴びることも大切です。太陽光を浴びることで交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズにしてくれるのです。→自律神経とダイエットについて
そしてトリプトファンを多くとるように心がけましょう。必須アミノ酸の一種であり、セロトニンを作るために必要な物質になります。
多く含まれる食品はうどん、そば、里芋、あずき、インゲン豆、アーモンド、くるみ、枝豆、春菊、キウイフルーツ、アボガド、しいたけ、マッシュルーム、かつお、まぐろ赤身、牛肉、卵、牛乳、ヨーグルト等であり、比較的多くの食材から摂取することが可能ですので、バランスの良い食事をとることで腸内環境を整えることが大切になります。→腸内環境を整えて痩せる方法
さて肝心の肥満遺伝子ですが、この遺伝子に関しては、少しずつわかってきました。
遺伝子が人間の生命維持のためにもたらされた暗号となるDNA(デオキシリボ核酸)であることは知っていると思います。そのDNAは生殖細胞を含む体内のすべての細胞の中にあって、日常的な生体機能を保つために、さまざまな命令を発しています。
数千の遺伝子が、血液や脳や心臓などを形成する細胞の中にありますが、遺伝子は一人一人の微妙に異なると同時に、実に多様な働きをしています。あるときには生命の維持に必要なタンパク質の合成を命令し、またあるときはホルモンの製造を命令したりします。
しかし、私たちがもつ遺伝子のすべてがいつもせっせと働いているわけではありません。いつも活発に自らの仕事をする遺伝子がいるかと思えば、条件がそろわない限り動きだそうとしない遺伝子もあるのです。そのような遺伝子のひとつが肥満遺伝子なのです。
肥満遺伝子は、脂肪細胞の中にレプチンを作り出すことで初めて活動します。活動を開始した遺伝子に乗っ取られた脂肪細胞はまるで生きもののようです。
つぎつぎと集結していき、ひとつの大きなグループを形成し、それが私たちのお腹とか、太もも、腕などの脂肪となりますが、私たちは自分の体の中でそのような出来事が起きているにもかかわらず、残念ながらまったく気がつきません。
脂肪細胞が生きて、そのような悪さをするなんてことを知らなかったのです。
また肥満遺伝子が世代から世代に受け継がれていくことも知りませんでした。受け継がれた遺伝子が肥満を調節する働きをもつレプチンが関連することすらわからなかったのです。
これが肥満遺伝子のメカニズムです。
この肥満遺伝子は親から子、そして孫へと何世代にもわたってつながっているので、誰もがもっていると想像できますが、肥満とそうでない人がいる差は、その遺伝子が活発に発現するか否かの違いでしょう。
活発な肥満遺伝子が問題だといいました。その遺伝子を自分がもっているのかどうかが気になります。誰だって持っていたくないですよね。とはいっても、残念ながら血液検査をしたからといってわかりません。
レプチンのレベルを検査することによって、間接的に肥満遺伝子の存在を類推するのがいちばんてっとり早い方法ですが、そこまでしなくとも、家族の中に肥満の人がいるかどうかでおおよその見当はつけられると思います。
両親や祖父母が肥満の場合は、あなたもその可能性が高いと考えてよいと思います。だからといって卑下する必要も家系を恨む必要もありません。それはたまたまそうだというだけで、誰の責任でもないからです。
肥満とまではいかなくても、ビール腹のお父さんやおじいさんがいる場合は、ちょっと可能性を疑ったほうがよいでしょう。肥満と呼ぶほどに太ってはいなくても、活発な肥満遺伝子をもっていることがあるからです。もしあなたが肥満遺伝子をもっており、現在も肥満であれば、いくら痩せようと思って頑張っても遺伝子が阻止しようとするのです。→肥満遺伝子について詳しい説明
痩せれないのには理由がある
さて、そうはいっても太っている自分を見ると、スリムなからだになりたいと思い、努力するのが人間です。ところが何をやってもどうしても元のからだに戻ってしまう。その理屈はいままでの説明でわかると思いますが、もう一度ここで、なぜダイエットできないのかを確認しましょう。
リバウンドをしてしまうと、挫折感にさいなまされる人が多いようです。これがとても悪い影響があり、さらに肥満が進行する場合が多いようです。努力が報われなかったことに対しては同情はしますが、これが人間の生理であり法則ですから、最初から無駄なあらいであったのかもしれません。そういう方こそがセロトニンダイエットにチャレンジして欲しいと思います。
遺伝的な要素と肥満の増加や上半身や内臓への脂肪蓄積、運動不足、ストレスや食生活の欧米化などによりさまざまな病気を引き起こすインスリンに対する抵抗性の低下は3大合併症のリスクを高めてしまいます。→ストレスとダイエットの関係
糖尿病、心臓病、そして高血圧ですが、それらのリスクの要因はインスリン抵抗症候群と呼ばれています。つまり肥満によってインスリンが働かなくなった状態であり糖分が細胞に取り込めずに、骨格筋、脂肪組織、肝臓などの作用効率が低下している状態なのです。肥満に起因するさまざまな異常が、インスリン抵抗性(インスリン感受性)にどれも深く関わっているからです。
食べると体重が増えます。そして体重が増えれば増えるほど、あなたの中にインスリン抵抗性も増えるのです。そうするともっと食べたくなり、インスリンは増え、ついにインスリン抵抗性が起きて、さらに空腹になり、前よりももっとたくさん食べてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
これは大人に限ってのことではありません。インスリン抵抗性は遺伝的な体質でもありますから、両親が糖尿病であったり高血圧であったりすると、小さい子どもでもその症状があらわれるのです。そしてその症状がさらに肥満遺伝子を活性化させてしまうからやっかいなのです。
このように肥満は百害あって一利なしです。なのにその肥満を引き起こす要素は複雑にして多様です。肥満遺伝子、レプチン、ニューロペプチドY、インスリン抵抗症候群。これらが連帯を組んで、あなたの体重を減らすまいとしているのですからやっかいです。
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