手 軽 さ 70/100
コ ス ト 50/100
アレンジ30/100
身体負担70/100
知  識50/100
ペ ー ス 50/100
グルタミン酸でダイエット
グルタミン酸という名前を一度は聞いたことがあると思います。旨味成分の1つであり、人間の脳の興奮性の神経伝達物質の1つであります。

旨味が強い食べ物に入っています。「うま味調味料」として市販されているものもあります。このグルタミン酸を利用して痩せようとするのがグルタミン酸ダイエットなのです。


動物を使った実験によると糖(グルコース)、脂肪(コーン油)、アミノ酸(グルタミン酸)、そして食塩を同じ濃度で少量ずつ、ラットの胃に注入して、脳の反応を機能型MRI(磁気共鳴画像化装置)で観察しました。

電磁石コイルの電源を1秒間に5000回、入れたり切ったり(スキャン)し、一辺が30~100umの立方体での酸素消費の変化(ニューロン応答)を経時的に測定すると、記憶に関わる「海馬」という部分がすべての栄養素に共通して反応を示しました。食事の際の栄養素の刺激は、記憶を活性化することが明らかになったのです。

次に栄養の摂取を認知し調節する扁桃体中心核は、グルコースとコーン油、グルタミン酸いずれでも反応しましたが、同時に過剰摂取(やみつき現象)や依存性に関わる側坐核を調べたところ、グルコースとコーン油では反応があったものの、食塩とグルタミン酸は反応しなかったのです。

この一連の実験で言えることは、栄養素のなかで糖と油脂は依存性が生じやすく、生理的欲求を超えて摂取しても不快感どころか快感となり、過食の傾向により肥満の原因になることが明らかになりました。たくさん食べるのを防ぐ方法

つまり太りやすい人の脳を知るうえでは、糖や油脂の依存性を高めるはたらきが強いことが考えられ、やせる人の脳はこれらに依存をしないで満腹感を得ていると考えられます。→ダイエットと脳の関係について




グルタミン酸は非必須アミノ酸の代表的物質で、グルコースやグルタミンから簡単に生合成できます。血液のなかにはグルコースもグルタミンも大量にあるため、グルタミン酸を意図的に不足させた肥料をラットに与えても、欠乏にはなりません。

実際、グルタミン酸欠乏食をラットに与えても、血中濃度は正常値です。

ところが、食欲はほかの必須アミノ酸欠乏食を与えたときと同じように低下してしまいました。しかも動物の全身の状態は好ましいものではなく、タンパク栄養状態の悪化とともに、異常な脂肪の蓄積が生じたのです。

グルタミン酸欠乏食をラットに与えた場合、絨毛(腸管粘膜の輪状のひだに存在する突起で栄養素の吸収部位)の高さや粘膜の厚さが半減し、充分に栄養素を吸収できなくなっていると考えます。

また、消化管免疫の指標である大腸の食物アレルギーや腸内細菌の異常増殖なども見受けられました。

並行して、かわいそうではありますが、グルタミン酸欠乏食を与えたラットの背中の部分から皮膚を実験的に切傷したところ、なかなか患部は治らなかったのです。

ところが、この傷を負ったラットに、水とともに嗜好濃度の1%のグルタミン酸水溶液を与えたところ、これを大量に飲むことでみるみる傷が治っていきました。この現象は寝たきりの高齢者の治癒として臨床的に報告されています。

これらの現象は、食事で得られるタンパク質に含まれているグルタミン酸が消化管機能だけでなく、皮膚のバリヤー機能構築にも関わっていることを意味しています。

また消化管粘膜を保護している粘液の分泌に関して調べたところ、食事の際にグルタミン酸がなければ、胃で食べものを摂取したことも認知されず、消化管の準備もできないので消化も始まらず、胃が最大に膨れるまで食べて、過食になってはじめて脳が食物摂取に気づき、消化吸収を行うというデータもあります。

それぐらいグルタミン酸のある食事とない食事では消化吸収においても違ってきています。

チェック肥満を防ぎ、記憶学習機能も向上させるグルタミン酸
それではグルタミン酸を好むのは、どのような生理的機能に基づいているのでしょうか。大変興味深い現象が見つかりました。

摂食中枢の反応を調べるため、正常な飼料を食べているラットにリジン欠乏飼料を与えてみました。すると、リジン欠乏飼料を与えた ラットはグルタミン酸には反応しなくなりました。このニューロンが「リジンがないぞ」ということを認知して、リジンを摂るように行動しました。

これによって、食事摂取、生体恒常性、そして記憶学習の三者が相互に関係し合っていることが明らかになりました。

最初に述べたように、この現象は食塩、グルコース、グルタミン酸ナトリウムの水溶液を胃の中に注入しても、同じように海馬のニューロンが反応したことから、多様な食材と好ましい味付けで調理した食事をした場合に、記憶学習機能は強く活性化されることを示し ます。 このことは人間にも置き換えて考えることができます。

こうしたバランスのいい、おいしい食事は、加齢による記憶学習機能の衰えを防止するだけではなく、成長期の食育にも効果的です。

もちろん、現役で仕事をしている人々にとっても、脳の記憶学習機能の向上につながることは間違いありません。特にグルタミン酸ナトリウムによる味覚や「内臓感覚」は食事で生まれる発熱とともに満足感も形成しますから、食べ過ぎを防ぎ、肥満防上にもなります。



グルタミン酸は体温を調節する部分と、基礎代謝を調節する部分ともに反応し、食事によって引き起こされる発熱である食事性産熱を生じさせることが明らかになりました。→食事中も代謝を上げて痩せる方法

これは食事を摂ると、体温が上昇して汗をかく現象で、エネルギ—源である炭水化物(糖)や脂質(油旨)の摂取では生じることがなく、タンパク質の摂取により起こることが古くから知られています。

タンパク質摂取にともなう「特異動的作用」とも呼ばれてきましたが、実際はタンパク質を構成する20種のアミノ酸のなかでも、一般的に食事によって得られるタンパク質は20種類のアミノ酸から構成されていますが、グルタミン酸とグルタミンがもっとも多く、アスパラギン酸とアスパラキンが次に多く含まれています。

もっとも多いグルタミン酸によって多く生じることが明らかになりました。つまりグルタミン酸を食事に取り入れるだけで痩せていくということです。


グルタミン酸はうま味の代表的物質で、天日干ししたコンブ、魚介類、完熟トマトからつくるケチャップ、チーズ、味噌、醤油、乾燥させたキノコなどに多く含まれ、グルタミン酸がたくさんつながると、納豆の粘性物質であるポリグルタミン酸になります。→納豆のダイエット効果

これらのグルタミン酸で味付けした料理は食べると大変おいしく、食事性産熱を生じさせ体温が上昇して汗をかくことになりますので、積極的に取り入れるべきです。

普段から取り入れている食材も多いので、あまり抵抗なく調理できると思います。これに対して、コーヒーを飲んでも、糖質と脂質からなるデザートを食べても、この発熱の現象は残念ながら生じませんので、太りやすくなります。



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